アストロラーベの種類 | Luminareo

アストロラーベの種類

アストロラーベの種類

2018-08-30

紀元前から18世紀まで広い範囲で使われてきたとあっては、アストロラーベだっていろいろと進化するというもので、アストロラーベの主だった種類を紹介します。
これ以外にも球形だとか線形だとか、マイナーなバリエーションはそりゃもういろいろあります…。

平面アストロラーベ

現在「アストロラーベ」と言えば、ほぼこの100%この平面アストロラーベのことを指します。
このサイトの説明も、特に注釈がなければこの平面アストロラーベの話です。

平面アストロラーベ

古典時代のギリシャで発明され、イスラム世界に渡って発展し、中世ヨーロッパに逆輸入されたのは歴史のページでも説明している通りです。

航海用アストロラーベ

アストロラーベは天文観測だけでなく航海でも使われました。
ただ、アストロラーベは地上や凪いだ海上での緯度経度の測定はできたのですが、荒れた海上での使用には難があったため、その問題点を解消した「航海用アストロラーベ」が生み出されることとなります。

平面アストロラーベと何が違うかというと、航海用アストロラーベに備わっているのはアリダードと角度の目盛りのみで、黄道や天体の位置計算機能はなく、とにかく太陽や星の高度の測量機能に特化しています。
揺れる甲板の上で風にあおられたりせずに測量ができるよう、できるだけ重い真鍮で、大きさも大きく作られ、またマーテルには風を受け流す大きめの穴があいています。

航海用アストロラーベ

航海用アストロラーベがいつ頃発明されたのかは定かではありませんが、最古に確認できる記録は1925年で、遅くとも15世紀終わりまでには使われていたことが分かっています。
17世紀一杯ごろまでは使用されていましたが、六分儀などより正確な計測器具が発明されるにつれて姿を消しました。

百科事典などの説明ではアストロラーベと航海用アストロラーベは混同されて説明されることが多いようですが、割と別のものです。

アストロラーベ四分儀

アストロラーベのなかには、四分儀(象限儀)に組み込まれた「アストロラーベ四分儀」というものも生み出されました。
アストロラーベ四分儀もまた、いつどこで生み出されたのか正確には不明ですが、12世紀頃のエジプトや14世紀頃のシリアで書かれた論文が見つかっています。
平面アストロラーベの代用品として一般的に普及しており、17世紀から20世紀初頭まではオスマン帝国でよく使われていました。

アストロラーベ四分儀

四分儀(象限儀)とは四分円の扇形をした天文観測器具ですが、そこにそのままアストロラーベのリートの黄経目盛りや恒星の位置などが、四つ折にたたまれた形で刻まれています。
製作が簡単であり、平面アストロラーベとおおよそ同じ機能がありましたが、平面アストロラーベに比べると直観的に操作できるものではありませんでした。

ユニバーサル(汎用)型アストロラーベ

平面アストロラーベは現在位置の緯度が変わるとティンパンを取り換えなければならないという欠点がありましたが、ティンパンの交換なしに操作できるように改良されたのがユニバーサル型アストロラーベです。
ティンパンの交換を不便だと思った人はいつの時代にもいたらしく、いくつかの種類があります。
しかし操作が複雑で、あまり一般には普及しませんでした。

サフィア・アルザケリス・アストロラーベ(サフィーハ)

一般的に「ユニバーサル型アストロラーベ」というと、この、天球を春分点と秋分点を通る経線(分点経線)上にステレオ投影したタイプのものを指すことが多いようです。

フリースランド(現オランダ)の数学者・ゲンマ・フリシウス(*1508〜†1555)の改良によって西洋世界に知られるようになりましたが、もともとの原理はアンダルシアの天文学者・アッ=ザルカーリー(*1028〜†1087)が発明したものでした。
なお、フリシウスの改良とほぼ同じフォーマットのアストロラーベを、ウィーンの技術者・ハンス・ドルン(*1430〜†1509)が先に制作していましたが、フリシウスがドルンの制作したアストロラーベを見たことがあったのかは、現在となっては不明です。

ロハスのアストロラーベ

ゲンマ・フリシウスの弟子だった、スペインの天文学者・ファン・デ・ロハス・サルミエントが考案し、1551年に発表したユニバーサル型アストロラーベで、ステレオ投影によるものではなく、天球を分至経線に正投影したものとなっています。

その他のユニバーサル型アストロラーベ

その他のユニバーサル型アストロラーベには、13世紀にペトルス・ペレグリヌスによって考案されたものや、フィリップ・ド・ラ・イール(*1640〜†1718)がサフィア型とロハス型の難点を改良すべく考案した(が、アストロラーベの全盛期は過ぎており注目されなかった)もの、珍しいものでは11世紀にトレドで考案されたと思われる、天球を水平投影した「ラミナのユニバーサル型」などがあります。