ワンドのエース
インプレッション
ポジティブ
ネガティブ
オリジナルで絵を描くなら……
燃え立つオーラを纏って虚空に浮かぶ、幹のように真っすぐな太い生木の長い棒。
まるで燃え盛る炎の中から生まれ出でたようにも見える。
その棒にはたくさんの葉を茂らせた蔦の蔓が纏わりついている。
ワンドのエース ― 生き抜くための力
小アルカナの「ワンド」「剣」「カップ」「ペンタクルス」の4スートはそれぞれ「火」「風」「水」「地」の4つの要素……つまり4大元素を表していると言われます。
そんな小アルカナで、エースは純粋なその要素を表していると言われます。
なので、小アルカナを考えるには、まずエースについて考えた方が話が早そうです。
そしてエースについて考えるということは、そもそも4大元素というものがそれぞれ自分にとってどんなことかというのをハッキリさせるということでもあります。
ところが、タロットの4つのスートの内で、瀬野的に長いこと一番ピンとこなかったのが、このワンドのスートでした。
いや、まあ、普通の解説では、
ワンドは4元素で火にあたります。
ワンドが象徴しているものは、創造、精神、直感、信念、情熱、etc. です。
みたいなことがよく書かれてますけど、いや、書いてあるこたぁ分かりますよ。
分かりますけど!
「創造」「直感」「信念」「情熱」とかって、イマイチ方向性がバラバラくない?
しかも、どうかすると「ワンドは何か」って人によって言うとることがズレてるやん?
そしたらさ、「ワンド」ってさ、要はさ、人間の活動というカテゴリから、感情(水)、思考(風)、物質(土)とかのカテゴライズしやすいものを除いた、余りもんの寄せ集めじゃね?
そういう余りもんの寄せ集めを、ワンドだ「火」の要素だと一括りにするって私らなんだかゴマカされてんじゃね!?
……瀬野はずっとそう思ってました。
あと、瀬野は「情熱って奴はむしろ感情(水)じゃないのか」とも思ってました。
今は「情熱 = 意欲 + 喜び」だと思いますね。「喜び」は感情=水ですが、「意欲」なら火ですわ。
あと「精神」「直感」を火という奴はヤブだとしか思えん。本能的な勘という意味なら火でもいいかもしれんが。
だから、ワンドとか、「火」の要素、……なんとなくは分かるよ?
なんとなくは分かるけど、だけど、ピンとこねぇよ!!
「ワンド的な何か」とは
それでもタロットを作るにあたって、各スートについて考えていたところ……それが、つい最近ですけど、あるきっかけで思い出したことが反面教師になって「ワンドとか『火』の要素って、こういうことか!」というのがやっとピンと来た訳です。
別館ブログにも書いた話ではあるんですが、瀬野には、とても幼くして亡くなった幼馴染がいます。
いや、もう、本当に存在感が天使そのままという、これ以上ないほどの善い子でした。
彼(男の子でした)は生まれつき内臓に深刻な障害を持っていました。
その障害、今だったら手術できて、大人になれた子たちも何人もいるんですが、瀬野が超小さかったころ、そして彼が生まれた頃は手の施せなかった障害でした。
……彼がもう数年遅く生まれていれば、手術出来たのになぁと思うとしんみりしますよ。
で、とにかくこの彼は全く天使でした。
天使というのが人で存在するならああいう感じ。
具体的に言うと、
- 人の話をなんでも素直に聞いて、受け入れる感じ
- 自分から「ああしたい」「これやりたい」などと言いだすことはない感じ
- 現状は常に受け入れる(自分からは体をあまり動かせなかったからね)
しかし「あれがもっとこうなるといい」みたいな発想をすることも多分ない - 何かを出来ない、やれないと言って癇癪を起こすことは絶対ない
- つまりワガママは絶対に言わない
- 知的障害があったからとかそういうことではない
瀬野は彼とは普通に会話のやりとりをしたし、そして彼は自分をいつも抱っこしてるお母さんを気づかっていた
とまあ、こんな感じ。
基本的に、人のことを全部受け入れるような感じだから、とてもいい子だったよね。
彼のこの性格は、障害のため、物理的に、自発的に体を動かすとすぐしんどくなってしまうから、なおさらそんな感じになったんだとも思うけど、
なんというか……
いや、いい子だったんだよ。
超絶いい子だったんだよ?
なんだけど。
手の施せない障害で、その先決して長く生きないというのが分かってたこともあって、生きるための力、というのが欠落してる。
そんな感じでもあった。
うん、そう。
彼は「ワンド的な何か」がすっぽ抜けてた人だったとも言えるんだ。
つまり、「ワンド的な何か」っていうのは
- 動物的な生きる力、生きる意欲・エネルギー、生命力
- 「ああしたい」「これやりたい」という意欲、意志
- ワガママを通す力
- 自分や自分を取り巻く世界をより発展させることへの意志
- 自分から外界へ働きかける力、外界を動かす力、行動力
……的なことか! と、瀬野はピンと来たのでした。
一言でいってしまえば、松岡修造系のやる気・ウザさ・暑苦しさ。
それが、「火」の要素だ。
ワンドのスートはどんな棒
さぁめでたく「『火』の要素」「ワンド的な何か」がピンときたところで!
自分にとっての「ワンドのスート」をデザインしようじゃありませんか先生!
さて。
ワンドって、まずスートは「ワンド」で良いんかね?
デッキによってはスタブとかバトンとかロッドっていう呼び方もあるんだよね。
それは、棒なのか、杖なのか、それとも王笏みたいなものなのか。
そういうことでワンドかスタブかバトンかロッドかというのも決まってくる訳です。
……じーちゃんが歩くときに持つ杖みたいな杖を描いてるデッキもあるんだよね。
棒だから、なんかまっすぐな棒を一本描きゃいいっていうもんじゃないんです。
スートとしてどんな棒にするかってのは、とっても大事なことですぜ!
そういうイメージを詰めないで作ったタロットなんて、ただのそれっぽい絵を描いただけの紙切れに過ぎません。
それにしても、ワンドは「意志」「生命力」「生きる力」に結びついてるスートだから意志とか生命力があふれる感じの棒or杖にしたいよなぁ。
王様や魔術師が儀式につかう杖とか王笏なら意志的なものが感じられる分マシでさ、じーちゃんが歩くときに持つような杖に「生命力」「意志」が感じられるかっつーの!
そしたらやっぱり、「樹」って感じのする、素朴で力強い、枝っぽい木の棒がいい。
おお、だからRWS版は葉っぱの付いた長い木の棒なんだぜ。
さすがRWS版だ。
ワンドそしてヘチマ(爆)
そういえば、瀬野が初めてタロットに出会った「ザ・テラー」という漫画では、ワンドに「生命の樹」という日本語訳をつけてましたっけ。
これ、まさに「火」要素って感じで、かっこいいねぇ……と思ったのも束の間。
カバラとかセフィラーのアレと混同しちゃうから、それはやっぱりマズいよね。
……そんなことを某SNSで呟いてたら、友達がコメントをくれました。
彼女のリア充な友人が、英国旅行で、トランプと間違えてタロットを購入し、ワンドの札を見て「ヘチマ」と命名したのだそうです。
「ワンド = ヘチマ」の衝撃度に全部持ってかれてしまいましたよ。
うっかりGoogleでヘチマを画像検索してしまった。
うん、分かる気がする。なんとなく、形的にワンドに見えなくもないよね、ヘチマ。
そう思った次の瞬間、ヘチマに混ざったひょうたんの写真で腹筋が崩壊しました。
むしろ、ひょうたんとカバラの生命の樹が結びつきそうになって大変だった。
ただ、気を取り直してみると、ヘチマとかのつる植物の生命力って、まさに「火」の要素な感じがすごくしたんだな。
奴らって、夏になると手がつけられないほど茂りまくるじゃないですか。
よく茂るつた・つるを木の枝風ワンドに絡ませたら、「生命力」って感じ。
もちろんワンドは炎を纏って、さらにオーラで輝いている。
そんなワンドが炎の中から出現しているような。
ワンドのエースってそういう感じ!
ヘチマとひょうたんの衝(笑)撃から一転、ワンドのスート、そしてワンドのエースのイメージが一気に固まりましたよ!
ヘチマのお陰で!w
ワンドについて、つい最近までピンとこなかったというのにね。
ここまで一気に具体的なイメージが固まるとは、自分でもびっくりですぜ!