節制
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オリジナルで絵を描くなら……
節制 ― ここは地道に、地道に行こう
「節制」のカードって、これといった意味がハッキリしないカードですね。
飛躍解釈だと「2つのものを混ぜ合わせて統合すること」を表すとかいう解説もありますが(そしてトート版はそっち寄りの絵柄ですが)、瀬野個人的には、ちょっと目立った方針を打ち出した後で「さあこの後は地味に、堅実に、地道に行けよ」という気分の時によく出るカードです。
しばらくの間は、その自分で打ち出した方針の通りに粛々と実行せいよ、という感じです。
ポリシーを打ち出した後で不言実行、ということは、「ものごとを安定化させる」「はやくそれ安定運用に持ってけ」という意味を持つと見ることが出来るかもです。
あるいは、「今日は目立っちゃダメ。いつもの仕事をちゃんとやって無難にやり過ごせ」的な時にもよく出ます。
「節制」は、一言でいうなら「安定運用」「不言実行」ぽいというのが瀬野の印象です。
……そういうパッとしない意味なのに、見た目の派手さに引きずられ、意味を取りかねてる人が多いような気がします。
嵐の中の安定運用
あと、「節制」って大アルカナの中でも微妙な順番にあると思います。
なんせ前には「吊るされた男」と「死神」、後ろには「悪魔」と「塔」ですよ。
あまりいい感じのしない並びの中で、「節制」はいきなり現れた救いの手みたいな感じがありますが、「いいカードだ」と思って気を抜いたら、一気にドボンな匂いがしますよ。
「吊るされた男」と「死神」の後で、一波乱あった自分の状況を立て直してるのが「節制」だと思います。
悪いカードじゃないからと、ここを調子こいて適当に過ごしたら後がわやわやになるところだと思います。
何かを混ぜ合わせて統合するにしても、ものごとを定常業務に乗せて安定運用させるにしても、出来あがったり、安定運用までいった後は無難にことが進みますが、その状態に持っていくまで、安定運用のレールを敷くまでにはかなり根気と馬力と慎重さは要ると瀬野は思う訳です。
そうでなくても大アルカナではこの後否応なく「悪魔」「塔」と続く訳で。
「節制」のカードでは、天使が涼しい顔で水をカップからカップへ移し替える様子が描かれてます。
その様子をこっちから見ると、この人羽根があるし、ということは天使だし、カップから一滴もこぼさず水を移しかえるなんて、天使様のお力なら簡単なんでしょー? みたいな風に一見思えますよね。
しかし、この人(天使)、実は、水を楽々移し替えているのではなくて、すんごい注意を払って超絶慎重に移し替えてるのかもしれません。
……そう思ってカップをよく見れば、水の流れ方とカップの向きが物理法則ガン無視ですよねぇ。
うん。
もしかしたらこの天使、この無理な向きを保つためにすんごい力を振り絞ってたりしてね!
遠くへと続く道
ところで、「死神」の遠景には昇る(?)太陽が描かれていましたが、このカードにもやはり昇る太陽が描かれています。
しかもこのカードに描かれてる太陽は、ご丁寧にも太陽の上側が光の色で塗られてます。
これはもうパッと見で「昇る太陽」に見えますね。
これが沈む太陽に見えるようじゃ、よっぽどだと思います。
死神の時にも書いたけど、この太陽の昇る場所は、自分が本当に目指している方向です。
たぶん。……うん、たぶん。
しかも、「死神」のときには太陽の方向までどうやって行くのかはっきりよく分かりませんでしたけど、「節制」ではハッキリ道が見えてますよ。
ということは、行く先は遥か遠くでどこを目指してるのかはよく分かりませんが、それでも地道に、慎重にこの道さえ辿れれば良さそうです。
やったね!
……そのまま方向を見失わずに辿れるものなら、ね。
そのまま何となくその方向を目指すだけで自分が何を目指してるのか具体的にはっきり把握していけるようなら。
ですけどね。