愚者
インプレッション
無垢なるもの。
いかなる災いを味わうとも先へと進む魂。
彼は最高の幸福すらも打ち捨てて次の次元へ進む。
ポジティブ
固定概念を捨てる
過去のしがらみを振り切る
迷いを捨てて行動する
案ずるより産むが易し
ネガティブ
考えなしに行動する
突っ走るのは危険
今一度考慮すべし
オリジナルで絵を描くなら……
祝福された光の中、何処へ通ずるとも知れぬ妖しい昏い穴へ飛びこもうとする男がいる。
その足元には犬がいて、彼の行為を引きとめているようにも喜んでいるようにも見える。
彼はさらなる高みを求めてやまぬ魔術師の魂である。
愚者 ― 全てを捨てて先へ飛びこめ
「愚者」のカードって、瀬野の場合、「いやいやいや、そんな考えるのやめろ。YOUとにかくやっちゃいなYO☆!」とか、「いやいやいや、相手はそんなことぜーんぜん考えてないから」というような場合に、よく出るんですよね。
何かに対してああじゃないかこうじゃないかと考えを巡らせてるとき、「そんなこといくら考えても無駄だよ」っていうような時に、「愚者」はよく出るカードです。
……普通、「愚者」は主に「考えなしの愚行」を意味するカードのはずですが、瀬野の場合は余計なこと考え過ぎなようです(苦笑)。
どうかすると、出るシチュエーションとしては「魔術師」と似ることがあるかもです。
ですが、「愚者」のカードは、「今いろいろ思っても考えても全く邪魔。とにかく一歩やってみろ」というか「考えるな、感じろ」っていう感じの時によく出ます。
反対に、「魔術師」のカードが出るときというのは、「自分が今抱いている想いはとりあえずそれでOK。さあ、始めようか」っていう感じですね。
愚者なのか勇者なのか
もしくは、「愚者」は、今まで慣れ親しんだ常識や、成果を上げてきたことから離れて、全く知らぬことへ挑戦しよう、挑戦するべきだというときに出るカードでもあります。
「愚者」の「愚者」たる所以は、今までうまくいっていたこととか常識、あるいは自分が積み上げた成果を未練なくバッサリ手放してしまうところにあると思います。
傍から見ると「そんな、普通と違うことを始めて、うまくいくとは思えない」とか「それでうまくいってたのに、なんでいきなり放棄するんだ」という風に見えるけど、「愚者」本人は、傍の人には見えない彼だけの目的地をはっきり感じてるんですね。
ただし。
その「愚者」だけに見えている目的地というのが、実際はどんなものやらこのカードの出る時点では全く分かりません。
傍の人が言う通り、幻かもしれないし、あるいは地獄へ通じる道かもしれません。
それでも、「愚者」はどうしてもそこへ向かいたいと思うんですな。
外目には、積み上げてきたものをぶち壊したように見えても、誰かと共有することが決してできない今までの経験値と目的地が、「愚者」の中にはしっかりとある。
だから、「愚者」は踏みだして行く。
「愚者」のカードを大アルカナの最初に置くか最後に置くか、人によって違うけど、瀬野としては、番号0でも気分的には「世界」の後に置きたいです。
最初だけど最後、最後だけど最初って感じです。
瀬野は、「世界」のカードは「易経」でいうところの「水火既済」だと思うんですよね。
そしたら、「愚者」のカードは絶対「火水未済」だって思うんです。
この、易経の、完成の後にひっくり返すという厨二病心くすぐる並びに、小学2年生のとき初めて易の本を読んだ瀬野は、大変ズキュゥゥゥンと来たもんです。
……それにしても、小2女子がどうして易に手を出したのか激しく謎だよ。
や、親父の本棚にマーフィーの易占いの本がなければそんなことは。多分。(震え声)
ちなみに、しかも「易ってトランプ占いよりあたるかも」というのが、小学2年生の瀬野の感想でした。
でも易よりトランプの方が好きでした。当時瀬野はタロットはまだ見たことなかった。
まあ、とにかく。
完成して終わるのではなく、完成して「ご破算で願いましては」する。
そうしてまた新しいサイクルが始まっていく訳ですね。
プリケツ・ザ・愚者
突然ですが、オリジナルのタロットを作るのに、もしも、見ててジワジワ来るデッキを作るなら、「愚者」のカードは「こっちに尻むけてお尻ペンペンしてる人にするぜ」と思ったことがあります。
「さすがにお尻ペンペンなカードはないよねw」と一人ほくそ笑んでいたのですが、実にそのイメージそのままの「愚者」のデッキが本当にあったからたまらんかったです。
そのデッキとは「Tarot of the Mystic Spiral」。
これ見たとき、もう、「やられた!!!」と思いましたよ。
さすがに、作ることにしたのは、もっとマジメな方向のデッキになったのですが、それでも結局「お尻ペンペン愚者」は自分的にマジでした。
実際のところ、一枚絵でお尻ペンペンしてるように描くのは難しいのでなんとかそれっぽく見える構図を考えていたところ、だんだんと、こっちにお尻をむけ、嘲笑いながら振り向きつつ、向こうに開いてる大きな黒い穴へ飛び込もうとする人というイメージが沸いてきました。
目の前のブラックホールをくぐりぬけて流れ着く先は、新天地か、それとも破滅か。
そこに飛び込むのは輝く未来へ繋がる勇気なのか、はたまた無駄な蛮勇なのか。
それは、周囲の人にも、「愚者」本人にも、全く分かりません。
あと、もし絵を描くときは、お尻ペンペンにできなかった恨みを込めて人物のプリケツにはこだわりたいです。ええ