タットワカードと瞑想
タットワの図形についてある日ふとなんとなく、形も色も単純だし、かわいいし、魔術だし、ということで興味を惹かれた。
以前からほんのりと知ってるこた知ってましたが、改めてきちんと調べようとしたら「タットワの技法」なるデタラメ情報がネット上を席巻してて辟易したので、この際「だからなんなのさ」ってことをまとめてみることにした。
(2021年4月2日追記)その後で割と大御所な先生がGD魔術が背景ではないコミュニティで応用的な独自手法を展開してたことを知って頭痛が痛い。
タットワカードとは、「タットワ瞑想」に使います。
これは、視覚と知覚を鋭く磨く訓練の一つなのだ。
別世界に逃避する方法なんかじゃないんだからね!
それに25個の図形を一枚に並べて見る使い方も、全然本来のやり方ちゃうぞ。
タットワ瞑想とは
「タットワ瞑想」というのは、19世紀末のイギリスにあった魔術結社「黄金の夜明け団」で行われた魔術修行の一つで、「霊的ヴィジョンの旅」とか「アストラル旅行」をするための瞑想です。
……この「アストラル旅行」ってなんぞやというと、一般的にはよく「意識的に白昼夢を見ること」と言われますけど、つまるところ「瞑想をして脳裏にイメージが湧いてくるのを待つこと」なのね。
これができると何がいいかっていうと……要は、勘が鋭くなります。
つまり、何か物を見たときに、目に見える物体だけじゃなくてそれにまつわるなんらかのイメージや感じを感じることができるようになります。
そりゃ初めは当てずっぽうのなんの意味もない余計なイメージかもしれません。
でも、これが研ぎ澄まされてくると、表立って明らかにされてない事情を的確に察知することができるようになるんだな。
これ結構ホントなんだよ!?
つまり、超能力者が人を霊視したり透視したりするような、そういう能力を後天的に身につけようっていう訓練の一貫なんですな!
そんな訓練を開発すべく、あれこれやってた19世紀のイギリス人たちが見つけたのが、この、「タットワ」というインド哲学発祥の5大元素。
つまり、この世界を構成する5つの要素と、それをシンボライズした図形でした。
- 空(Akasha・アーカーシャ):藍色の卵形 — 全ての源、根源、スピリチュアル、虚空
- 風(Vayu・ヴァーユ):水色の円形 — 成長、拡大、自由、思考、大気
- 火(Tejas・テジャス):赤色の三角形 — エネルギー、力強さ、意欲、火
- 水(Apas・アパス):銀色の三日月形 — 液体、流体、無定形のもの、感情、水
- 地(Prithvi・プリティヴィ):黄色の正方形 — 固形、固いもの、現実、大地
実はこれは日本にも渡来していて、お墓によくある五輪塔になったり卒塔婆になったりしています。
……で、これの何がどう彼らの心の琴線に触れたのか、あまりよくはわかりませんが(こまけぇこたぁいいんだよ厳密なやり方とか真面目な話をご存知になりたい方は、下記の参考文献とその先に広がる広大な沼を当たってください)、まぁ、あの時代東洋由来といえばとにかく神秘的に見えたのかもね?
それに5元素のうち火地風水はタロットや占星術でもすっかりお馴染みの4大と被ってるしね。
しかし何より「世界を構築する元素とコミュニケーションする」とか、まさに魔術だよね!
とにかく彼らは、この5つの図形の組み合わせた25枚のカードを使う訓練をカリキュラムに組み込んだのでした。
タットワ瞑想のやり方
- タットワカードを用意する。
大きめのタロットくらいの大きさのカードに、タットワ図形を一つずつ描く。
このとき、図形は絵の具で塗るより、色紙を切抜いてカード台紙に貼付けること推奨。
なぜなら色が均質になるから。残像を使うので、色は均質な方が良いのだ。 - 瞑想を行う場所を清める。
物理的な掃除はもちろん、お清めのお祓い的なことをやっておくとよろし。 - リラックスして椅子に座る。
作ったカードから一枚を選んで手に持って、図形を凝視する。
凝視する時間は20秒ほど、図形の周りに残像が見えてくるまで図形をじっくり目に焼きつける。 - 残像が見えてきたら、即座に視線をなんでもいいから白い面に移す。
天井や壁など。あるいはあらかじめ白い紙を準備しておいてもいい。
白い面に、今まで見ていた図形が残像で見えるはず。
ちなみに色はカードの図の補色となっているはず。 - 補色の図が見えたら、すぐ目を閉じてこれを脳裏に明確に思い浮かべる。
その図がだんだん大きくなって、目の前に扉のように立っているとイメージする。
そうしたら、この図形を扉か入り口と見立てて潜り抜けるようイメージする。 - 潜り抜けたら、この扉がちゃんと自分の後ろにあるようイメージする。
扉の中はその図のエレメントの世界だとイメージする。
その世界に何があるか、注意深く観察していく。 - 一通りイメージングがすんだら、エレメントの世界に入ってきた時と同様に、扉を潜り抜けて引き返してくる。
それから目を開ける。 - 現実に戻ってきたら、もう一回部屋のお清めをする。
- イメージング中にエレメントの世界で見えたものは、できれば日付とともに記録して、時折読み返してみよう。
瞑想の精度が上がってくると、何か面白いことに気がつくかもしれないぞ。
タットワカードの入手方法
タットワカードの入手方法なんですがまずは自作しろ。
この方面の方々には言うまでもない常識のはずなのでわざわざ書いてませんでしたが。
自分が行う術に使う道具は、自分の手で作ることが基本ですぜ。
だって魔術って、「自分の望む現実と世界を自分の意志で創りあげよう」って話じゃないんですか。
それが、その次にとる手が「他人がつくって売るの待ってそのまま使おう」ちゅう精神で叶うわけないやろがい。
「自作って手もあるけど買った方が断然楽☆」じゃねえよ……ましてやこれ瞑想の道具だぞ? 技能と悪意のある売り手がバックドアを仕込む可能性って発想と危機感を持っとけ。売り手の瀬野が言うの「おまゆう」だけど。
とは言え「人間には向き不向きだとか、得手不得手ってもんがあるんだよ!!」というのも仰る通りで、そして瀬野は絵を描いて工作するのが好きで割と得意な人間でもあるもんで、瀬野が(自分向けに)作ったものでよければLuminareoのWebショップで販売してたりしてなかったりします。
- タットワ瞑想カード 販売
BASEよりご購入 / Boothよりご購入
このカード、用意するのに手作業の割合が多いため、瀬野の体調によって欠品が続くことも多いです。
しかし入荷時期を問合せるくらいこのカードを使う手法に熱意と思い入れがあるんなら、自作してください。自分のために。
……何かあったのかって? あったよ!!
真面目に書こう。個人的に大変だった時期と重なって在庫を思うように準備できなかった時期に問合せを受け、対応を行い(当然返信もした)、その数週間後にはなんとか在庫復帰させてその案内メールを送った(つまり問合せに対し2度メールを送った)のだが、後日その問合せ者の運営するサイトに「お問合せを送っても返事は来ず。」などと明記されているのを見た。
調べてみたところ、GD魔術とは関係のない某ヒーリング手法のコミュニティで、(占い界で名の通った人物による)独自解釈気味のタットワ瞑想講座が開催されていたことを知った。
件の問合せ者もその講座の受講者だった……見込んでた母集団の活動規模に対してこんなに引き合いがあるのは妙だと思ったよ!!
本来は自作すべきものという諒解の元でGD系魔術同好の士向けに用意していたものを、別のコミュニティから突如やってきて異様な速度で消費し尽くした挙句、このように当方を貶める言動をとるなど、このヒーリング手法の関係者と講座関係者の全員に対して隠す気のないレベルで怒っている。
本日のお題ジェネレータ
今日のタットワ瞑想のお題を決めて、瞑想してみよう。特に決めたお題がなければ、ここでランダムに出すよ!
ここにタットワ名が出るよ
各タットワの説明
タットワカードは全部で25枚の構成になってます。
まずは単純なタットワのカードが5種類。
そして2つのタットワを組み合わせた「複合タットワ」と呼ばれるカードが20種類です。
それぞれの図には、それなりに意味がつけられるわけでして、瞑想の際には、その時の気分や状況にあったものをピックアップするのが一般的です。
逆に、タロットのように一枚引きしてその時の状況をみるって使い方もありだよ!
空のタットワ
風のタットワ
火のタットワ
水のタットワ
地のタットワ
参考文献
このコーナーで主に参考にしているサイトや書籍は以下の通り。
- 朝松健『高等魔術実践マニュアル』(1987)学習研究社, 255p.
- イスラエル・リガルディー(著), 江口之隆(訳), 秋端勉(編)『黄金の夜明け魔術全書 下』(1993)国書刊行会, 624p.
- 井上教子『タロット象徴事典』(2009)国書刊行会, 550p.
- 秋端勉『実践魔術講座リフォルマティオ 上巻』(2013)三交社, 902p.
- 秋端勉「I∴O∴S∴第1講義文書 第4章・小宇宙と大宇宙」(2013), 魔術の学院 I∴O∴S∴
- 魔術亭『魔術亭ブログ(2016年10月分)』
- Hiro(編)「黄金の夜明け団知識講義文書 第3知識講義」(2018),「西洋魔術による方法」(2018), 魔術とオカルトの図書館
- 「タットヴァ」, ウィキペディア / 「Tattva」, Wikipedia.en
- 「Tattva vision」, Wikipedia.en
- 「五大」, ウィキペディア / 「Five elements (Japanese philosophy)」, Wikipedia.en
- 「五大元素」, ウィキペディア
- 「四元素」, ウィキペディア
謝辞
2019年に開催された魔術勉強会「タットワお茶会」主催者様および参加者の皆様より、カードの使用感や背景色などについてたくさんのご示唆をいただきました。ここにお礼申し上げます。