鈴木書屋発行「座敷独判断 一名奇術神易」について
ちょっと前にTwitterのTLで「明治時代の占いの本にジオマンシーがあった」というツイートが流れてきたのですが、この本、よく見たらシンボルの出し方部分こそオリジナルなものの、内容というか占断の部分以降がそのまま「ナポレオンの運命の書(4桁版)」の和訳だったもんで、もの好きにもテキストに起こしてみますた。
ジオマンシーの占断と見比べてみると面白いかもしれないし、面白くないかもしれないよ。
「ナポレオンの運命の書(Napoleon's Book of Fate)」または「ナポレオンの神託(Napoleon's Oraculum)」とは、ナポレオンが1798年のエジプト遠征で古代遺跡から発見したとされる占いの書物で、「ナポレオンはこの占いを愛用して破竹の勢いで出世を遂げたが、1813年のライプツィヒの戦いでこの書物を紛失してあれよという間に失脚した」というエピソードを添えられて、19世紀前半頃から20世紀初頭にかけ、おそらくは主に英語圏で非常に流布した本です。
ジオマンシーと同じ出し方・同じ形のシンボルで吉凶判定をするものなんですが、上記の4桁のシンボルを使うもの以外に、5桁のシンボルによるバージョンもあります(またリンク先資料の外、ほぼ同じ内容で、かなりたくさんの版があります)。
一見ジオマンシーと同じことやってるように見えますが、この「運命の書」ではシンボルは単に吉凶判定の目次としての役割しかなく、シンボルそのものを意味付けして解釈することは行ってないようです。
しかしこの「運命の書」、……ナポレオンって確かフランス人だと思うんですが、フランス人が読みこなしてドイツで失くしたっていうなら、仏語版か独語版があってもよさそうな気はしません?
タイトルだって「Napoleon's Oraculum」なら、わりとラテン語じゃんね?
なのに、このラテン語っぽいタイトルで探しても英語以外のバージョンがさっぱり引っかからんのですわ。
てな感じなんで、この「ナポレオンの運命の書」、どうやら、ナポレオンの時代には廃れていたジオマンシー(のハウス占断)を元に英語圏で作られ、娯楽本としてえらく流行ったものなんじゃないかと思います。
で、5桁バージョンの「運命の書」は奇術研究家の高木重朗氏(*1930〜†1991)によって「皇帝占運術(1979)」とか「『運命の書』入門(1991)」というタイトルで紹介されてるんですが、…この4桁版、明治28年(1895年)なんて時代に東京の本屋が勝手に訳してたとか流石にこれは誰も気づかんわ。
この文献が関係者に見つかったきっかけは、平成10年2月に国会図書館で行われてた第86回常設展示「占いあれこれ」パンフレットだった訳なんですが、古今東西一切問わず、占いは一般的には迷信だ何だかんだと揶揄されつつも人心を魅了してきたこと、そして占術家とは機会あらば広くは知られぬ占術をほっくり返しては世に問うものであることが伺えて非常におもろいです。
そんなわけで底本は国会図書館デジタルコレクションからです。
ぶっちゃけ著作者の人物や没年が謎ですが、書誌情報の公開範囲に「保護期間満了」と明記されてるんで、NDLの調査ではパブリックドメインであることが確認取れてるんでしょう(もし著者不明の著作物で保護期間が満了かどうか判断できず文化庁長官の裁定によって公開されたものなら「裁定」と書かれる)。
ここは天下のNDLを信じるぞ、信じちゃうぞ。
テキスト化に当たり、旧仮名遣いはそのままにしましたが、旧字体・変体仮名・踊り字は諸々の都合上泣く泣く現代表記に改めました。
鈴木書屋発行「座敷独判断 一名奇術神易」テキスト全文
呑象高島嘉右衛門先生題辞 座敷独判断 一名奇術神易
占のしかた
- 片面はにして片面はの如き占符四枚を以て占ふものなり
- 占はんと思ふものは自身がつねづね信仰せる神仏の御名を三べん唱へ両方の眼を閉ぢこの占符を図の如く両手にて握りよくよくふり乱し浄らかなる盆の上にまき自身に近き占符を下とし順に竪に並ぶべし万一占符或は又は斯の如く並び出でたるときは女は右男は左の方より己が身に近きものより順にたてにならぶべし
- 仮令ばを得たるときは左の占図第一より第十六までの中にてをもとむれば第九なり
- 第九に於て占はんと欲するもの譬えば「ねがひごと」なればその上に「り」とありこの「り」と第九とを記臆て本文うらかた「り」の部の第九に於て其成否吉凶等を判ち知るべし
- 一日に同じことがらを二度も三度も占ふべからず神仏の御心に悖る事あり慎むべし
占図
(注:ここでは表形式で書き起こしましたが、元の図はこんな感じ(約5M、jpgファイル)です。なぜ円形にしたし)
○ ○ ○ ○ | い | ねがひごと(願事) | り | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
ろ | もくろみ(目的) | ぬ | ゑんぐみ(縁組) | |
は | そんとく(損得) | る | ふうふなか(夫婦仲) | |
に | ひきこし(引越) | を | しゆつしやう(出生) | |
ほ | まちびと(待人) | わ | びやうにん(病人) | |
へ | うせもの(失物) | か | つみびと(罪人) | |
と | まじはり(交友) | よ | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第一 | ち | たびだち(旅行) | た | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ | ろ | ねがひごと(願事) | ぬ | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
は | もくろみ(目的) | る | ゑんぐみ(縁組) | |
に | そんとく(損得) | を | ふうふなか(夫婦仲) | |
ほ | ひきこし(引越) | わ | しゆつしやう(出生) | |
へ | まちびと(待人) | か | びやうにん(病人) | |
と | うせもの(失物) | よ | つみびと(罪人) | |
ち | まじはり(交友) | た | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第二 | り | たびだち(旅行) | い | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ | は | ねがひごと(願事) | る | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
に | もくろみ(目的) | を | ゑんぐみ(縁組) | |
ほ | そんとく(損得) | わ | ふうふなか(夫婦仲) | |
へ | ひきこし(引越) | か | しゆつしやう(出生) | |
と | まちびと(待人) | よ | びやうにん(病人) | |
ち | うせもの(失物) | た | つみびと(罪人) | |
り | まじはり(交友) | い | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第三 | ぬ | たびだち(旅行) | ろ | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ | に | ねがひごと(願事) | を | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
ほ | もくろみ(目的) | わ | ゑんぐみ(縁組) | |
へ | そんとく(損得) | か | ふうふなか(夫婦仲) | |
と | ひきこし(引越) | よ | しゆつしやう(出生) | |
ち | まちびと(待人) | た | びやうにん(病人) | |
り | うせもの(失物) | い | つみびと(罪人) | |
ぬ | まじはり(交友) | ろ | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第四 | る | たびだち(旅行) | は | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ | ほ | ねがひごと(願事) | わ | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
へ | もくろみ(目的) | か | ゑんぐみ(縁組) | |
と | そんとく(損得) | よ | ふうふなか(夫婦仲) | |
ち | ひきこし(引越) | た | しゆつしやう(出生) | |
り | まちびと(待人) | い | びやうにん(病人) | |
ぬ | うせもの(失物) | ろ | つみびと(罪人) | |
る | まじはり(交友) | は | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第五 | を | たびだち(旅行) | に | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ | へ | ねがひごと(願事) | か | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
と | もくろみ(目的) | よ | ゑんぐみ(縁組) | |
ち | そんとく(損得) | た | ふうふなか(夫婦仲) | |
り | ひきこし(引越) | い | しゆつしやう(出生) | |
ぬ | まちびと(待人) | ろ | びやうにん(病人) | |
る | うせもの(失物) | は | つみびと(罪人) | |
を | まじはり(交友) | に | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第六 | わ | たびだち(旅行) | ほ | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ | と | ねがひごと(願事) | よ | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
ち | もくろみ(目的) | た | ゑんぐみ(縁組) | |
り | そんとく(損得) | い | ふうふなか(夫婦仲) | |
ぬ | ひきこし(引越) | ろ | しゆつしやう(出生) | |
る | まちびと(待人) | は | びやうにん(病人) | |
を | うせもの(失物) | に | つみびと(罪人) | |
わ | まじはり(交友) | ほ | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第七 | か | たびだち(旅行) | へ | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ | ち | ねがひごと(願事) | た | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
り | もくろみ(目的) | い | ゑんぐみ(縁組) | |
ぬ | そんとく(損得) | ろ | ふうふなか(夫婦仲) | |
る | ひきこし(引越) | は | しゆつしやう(出生) | |
を | まちびと(待人) | に | びやうにん(病人) | |
わ | うせもの(失物) | ほ | つみびと(罪人) | |
か | まじはり(交友) | へ | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第八 | よ | たびだち(旅行) | と | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ | り | ねがひごと(願事) | い | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
ぬ | もくろみ(目的) | ろ | ゑんぐみ(縁組) | |
る | そんとく(損得) | は | ふうふなか(夫婦仲) | |
を | ひきこし(引越) | に | しゆつしやう(出生) | |
わ | まちびと(待人) | ほ | びやうにん(病人) | |
か | うせもの(失物) | へ | つみびと(罪人) | |
よ | まじはり(交友) | と | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第九 | た | たびだち(旅行) | ち | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ | ぬ | ねがひごと(願事) | ろ | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
る | もくろみ(目的) | は | ゑんぐみ(縁組) | |
を | そんとく(損得) | に | ふうふなか(夫婦仲) | |
わ | ひきこし(引越) | ほ | しゆつしやう(出生) | |
か | まちびと(待人) | へ | びやうにん(病人) | |
よ | うせもの(失物) | と | つみびと(罪人) | |
た | まじはり(交友) | ち | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十 | い | たびだち(旅行) | り | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ | る | ねがひごと(願事) | は | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
を | もくろみ(目的) | に | ゑんぐみ(縁組) | |
わ | そんとく(損得) | ほ | ふうふなか(夫婦仲) | |
か | ひきこし(引越) | へ | しゆつしやう(出生) | |
よ | まちびと(待人) | と | びやうにん(病人) | |
た | うせもの(失物) | ち | つみびと(罪人) | |
い | まじはり(交友) | り | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十一 | ろ | たびだち(旅行) | ぬ | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ | を | ねがひごと(願事) | に | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
わ | もくろみ(目的) | ほ | ゑんぐみ(縁組) | |
か | そんとく(損得) | へ | ふうふなか(夫婦仲) | |
よ | ひきこし(引越) | と | しゆつしやう(出生) | |
た | まちびと(待人) | ち | びやうにん(病人) | |
い | うせもの(失物) | り | つみびと(罪人) | |
ろ | まじはり(交友) | ぬ | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十二 | は | たびだち(旅行) | る | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ | わ | ねがひごと(願事) | ほ | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
か | もくろみ(目的) | へ | ゑんぐみ(縁組) | |
よ | そんとく(損得) | と | ふうふなか(夫婦仲) | |
た | ひきこし(引越) | ち | しゆつしやう(出生) | |
い | まちびと(待人) | り | びやうにん(病人) | |
ろ | うせもの(失物) | ぬ | つみびと(罪人) | |
は | まじはり(交友) | る | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十三 | に | たびだち(旅行) | を | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ | か | ねがひごと(願事) | へ | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
よ | もくろみ(目的) | と | ゑんぐみ(縁組) | |
た | そんとく(損得) | ち | ふうふなか(夫婦仲) | |
い | ひきこし(引越) | り | しゆつしやう(出生) | |
ろ | まちびと(待人) | ぬ | びやうにん(病人) | |
は | うせもの(失物) | る | つみびと(罪人) | |
に | まじはり(交友) | を | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十四 | ほ | たびだち(旅行) | わ | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ | よ | ねがひごと(願事) | と | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
た | もくろみ(目的) | ち | ゑんぐみ(縁組) | |
い | そんとく(損得) | り | ふうふなか(夫婦仲) | |
ろ | ひきこし(引越) | ぬ | しゆつしやう(出生) | |
は | まちびと(待人) | る | びやうにん(病人) | |
に | うせもの(失物) | を | つみびと(罪人) | |
ほ | まじはり(交友) | わ | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十五 | へ | たびだち(旅行) | か | ゆめみ(夢見) |
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ | た | ねがひごと(願事) | ち | あいじやう(愛情) |
---|---|---|---|---|
い | もくろみ(目的) | り | ゑんぐみ(縁組) | |
ろ | そんとく(損得) | ぬ | ふうふなか(夫婦仲) | |
は | ひきこし(引越) | る | しゆつしやう(出生) | |
に | まちびと(待人) | を | びやうにん(病人) | |
ほ | うせもの(失物) | わ | つみびと(罪人) | |
へ | まじはり(交友) | か | けふのよしあし(今日の良悪) | |
第十六 | と | たびだち(旅行) | よ | ゆめみ(夢見) |
うらかたいの部
第一 望みごと遠からずかなふべし
第二 つらきことがら身に迫ることあり慎むべし
第三 為すことは万事叮嚀にして慎むべし万一怠るときは禍来るべし
第四 刑罰逃れがたし
第五 命危しよくよく気を付くべし
第六 女子を生むべし少しく運わろし
第七 賢き妻を迎ふべし●良人はかならず優れたる人なり
第八 この人と縁を結べば思はぬ災難を受くべし
第九 この恋情は真実にあらず故に永く保つべからず残念なりとも止まる方よし
第十 旅行はあしし止る方極めてよし
第十一 互に深切を尽して交るかたちあり
第十二 うせもの手に入り難し
第十三 おほよろこびにて来るべし
第十四 今の地宜し他に転宅することあしし
第十五 よき望みなり目上の人の助けを受くることあるべし●現米は不味の気配
第十六 運あしし一心に神仏を祈念すべし
うらかたろの部
第一 今幸福を得れども他人に妬まるることあり
第二 暫く願ひ事を見合すべし
第三 他人の恵みを受る事ありよく其人に親むべし
第四 己を不幸に陥しいれんとするものあり慎むべし
第五 放免さるること覚束なし
第六 病人は九死一生と知るべし
第七 出生の児は男なりのちのちかならずすぐれたる人となるべし
第八 このうらかたを得たる人の配偶はかならず富む人なり
第九 この縁談は甚だよし一生幸福多く繁昌すべし
第十 真実心底より出でし恋情にして互に愛情深し
第十一 目上の人の助けありて福と恵とを受くることあるべし旅行大によろし
第十二 悪友の為めに欺かるることあり用心怠ること勿れ
第十三 一度失ひたるもの不意に手に入ることあり
第十四 恋情の為めに妨げありて待人来らず
第十五 今住居する所安心なりがたしよく心を用ふべし
第十六 利益なし然し注意によりて損耗を免るべし●先物に注意せよ
うらかたはの部
第一 目上の人の保護に依り大なる利益を得て忽ち身代を起すべし
第二 運甚だよろし神仏の助けを乞ふを怠ること勿れ
第三 望み事相当なれば叶ふべし
第四 交際親睦にして不和なき兆なり
第五 今日は最も慎み戒むべし不幸に遇ふの恐れあり
第六 罪を免るることいと覚束なし
第七 病気は全快し身体はますます健康なるべし
第八 生まるるは女子にしてのちのち世上の人に敬愛さるべし
第九 富貴又は優れたる人にはあらねども先中位の身分と知るべし
第十 この縁組は見合す方宜し身を亡す禍興るべし
第十一 この恋情は思ひ断つべし身の上に大害あり
第十二 旅行はあしし仕来りの通りを守るべし
第十三 親みふかき友人に依頼べし
第十四 失せもの出がたし
第十五 病気の為めに待人来らず
第十六 今の住居を換ふるはあしし
うらかたにの部
第一 故郷にて幸福を得がたけれども他国に出づれば大なる幸福利益を得るかたちあり
第二 思ひたちたる事は心置きなくすべし大に利益あるべし
第三 神仏の加護によりて今の不幸は幸福と変るべし
第四 強て今の望みを遂げんとせば却て貧窮を招ぐの恐れあり
第五 思ふこと成就するまでは多くの障りあれども一生懸命に心掛けなばかなふべし
第六 損と益との分れ道にありよくよく注意べし
第七 今回は免るることを得べし後来注意すべし
第八 病気長引くべし全快すること殆ど覚束なし
第九 極て美しき男子を出生べし但し驚く事あり
第十 分別宜しからずされども其の真情極めて深し
第十一 この縁組すゑとげて大によろし
第十二 自分を悪く云う人を恋ひ慕ふかたちあり
第十三 何処へ旅行するも障りなし但し心を付くべし
第十四 真の心なし言ばと為す事と違へり
第十五 いくらかの心配と費用とを忍耐なば望みを遂ぐ
第十六 来るべし暫くまちてみるべし
うらかたほの部
第一 待人来らず
第二 自分が信ずる友人の家に身を寄すべし万事意の如くなるべし
第三 求むる所しばらくして得らるべし●相場あがる兆あり
第四 運よろしからず神仏に祈りよく勤むべし
第五 願ふ所友人により始めて成就すべし
第六 この夢大にあししよくよく身を慎みてよし
第七 不幸不利益の方にいざなふものあり用心すべし
第八 あかりはたてども逃るゝ事むづかし
第九 病気日々に全快すべし
第十 玉の如き女子を産むべし
第十一 匹偶は身持放蕩なるべしこれが為め自分の身に迷惑を及ぼす事多かるべし
第十二 縁組よろしからず不幸を来し多くは別るることあるべし
第十三 情人他にあり思ひ切る方よし
第十四 旅行は禍起る当分見合すべし
第十五 友とし交りて尊むべき人なり
第十六 出づれども遅かるべし又難儀の来ることあり
うらかたへの部
第一 急には出で難し気長く心を付けなば再び戻る事あり
第二 障りありて来たることおそし待つべからず
第三 土地を換ふれば大なる幸福を受くべし
第四 万事ひかへめにして時節を待つべし必ず利益を得る時来るべし●相場或は下落することあり
第五 思ふ所障りありて急に遂げがたし
第六 望みは達せんとして終に達しがたきかたちあり
第七 災難来る前兆なり万事慎みてよし
第八 今日運甚だわろし思ふ所一も遂げがたし
第九 不自由を免れ青天白日の身となるかたちあり
第十 病気おもく全治すること難し
第十一 出生の児は美しき男なり産は軽し
第十二 真心ありて財産に富めり助けとなるべし
第十三 この縁組は争ひごと起るべし止る方よし
第十四 心の変はることあり添ひ遂げがたし
第十五 この旅行は大によしかならず幸福を得ることあるべし
第十六 真実の心なし交らざる方よし
うらかたとの部
第一 一生涯交わりてよき友人なり
第二 損失とあきらむべし出づれば其の日の中にあり
第三 待人はおそく来るべし
第四 家うつり宅をもとむること暫く見合すべし
第五 すべて見合す方よし損失多し●相場大に変動あり
第六 目途遂げがたししんじんすべし
第七 思う事必ず成就すうたがひなし
第八 ゆめあしくば近きうちにかへつて喜びごとありと知るべし
第九 災難身に及ぶ心を用ふべし
第十 やうやく死を免るるのみ
第十一 病気は神仏の守護に依り全快すべし
第十二 女子にしてうまれつき虚弱の方なり
第十三 匹配は性質正直にして親切なり
第十四 この縁組はあししのちのち争ひ起らん
第十五 この恋は意外の難儀出来るの恐れあり思ひ切るかたよし
第十六 何処へ行くとも障りなし但し不意に帰る事あるべし
うらかたちの部
第一 旅行至極よろし万事意の如くなるべし
第二 己を妬み憎むあしき友あり能く心を付けてその難を避くべし
第三 失せ物出がたし穿鑿すべからず盗賊におひせんの譬へあり
第四 待つべからず来ることなし
第五 この地を去り他国に到らば運必ず開くべし
第六 今の業をやめ他の業を営まば利益を得べし●手ばなす方よし
第七 望み事一切見合すべし未だ時節来らず
第八 何事も願ふ通り成就すべし
第九 勉むべし幸福遠からず来る
第十 今日の運はとりとめなし
第十一 近き中に免さるべし
第十二 病気は全治することうたがひなし
第十三 丈夫なる児を生む但産後の養生を大切にすべし
第十四 家内に少く浪風立ことあれども夫婦なか極めて睦し
第十五 この縁末遂げずことにたびたびゑんかはるべし
第十六 添ひ遂げて一家繁昌すべし
うらかたりの部
第一 真情にして思ひかなふべし但し心易きにすぎて争ひ起ることあり
第二 旅行にさはりなしといへども目的は遂げがたし
第三 親切にして頼となる人なり
第四 品物遠く隔たるしかし意外なる所より戻ることあり
第五 大悦びにて来るべし
第六 この地を離れてはよき運をとりはづし繁昌せず
第七 売買とも利益あり但ししかけてはあしし
第八 今は思ひのままなれども末遂げかたし
第九 願ひ事はかならず成就すべし
第十 いかなる夢も人に咄すことなかれ不幸は追々去るに至るべし
第十一 付けねらふ人あり心を用ふべし
第十二 罪を負いたる苦労近々に消ゆべし
第十三 神仏の加護により病気全癒却て健康とならん
第十四 玉の如き女子を生むべし
第十五 楽のでき難き夫婦なり愛情もうすき方なり
第十六 望み通りに整ひがたきかたちあり
うらかたぬの部
第一 婚姻の後不仕合あれどもまた幸福を得る時節到来すべし
第二 思ふ事かなふ末遂げてばんじよろし
第三 いづくへ旅行するも障りなし大に繁昌すべし
第四 真実すくなし程よく交際すべし
第五 失せ物出で難しされども盗賊は捕縛となるべし
第六 来ることおそし
第七 家うつりすべし繁昌すること疑ひなし
第八 見込通り利益多かるべし●売買とも進みてよし
第九 従来の目的を換へざれば富みを得がたし
第十 今は何事も成就し難し思ひかへてよし
第十一 知り合ひに心あしき者ありよく気を付くべし
第十二 あまり心配すべからず追々善き方に向ふべし
第十三 近き中に放免るべし
第十四 病人は治しがたし恐くは命なし
第十五 男子なりやすやす出産べし
第十六 縁とほし配偶を得る事いとむづかし
うらかたるの部
第一 美しき配偶を得て其の中睦し
第二 この縁整へども争ひ起り添ひ遂げがたし
第三 思ひの外早く叶へども後に心の変ることあり
第四 旅行はあしし不幸を招くことあり暫く見合す方よし
第五 この人は真実なり万事うちあけて大によし
第六 盗難ありすべて用心すべし
第七 財宝を持て来るべし
第八 転宅は暫く見合すべし幸福その身に来る事ありいそぐべからず
第九 少しの利益あるべし●気配稍よし
第十 苦しき事や悲しき事や恐ろしき事に出あひ始めて望みを達すべし
第十一 何にても心のままに叶ふべし
第十二 財を得るかたちあり
第十三 仇は変じて味方となるべし
第十四 拘留せられ五六日の苦難あるべし
第十五 病気は全快すべし憂ふることなかれ
第十六 女子を生むべし但し産はおもき方なり月の足らぬことあり
うらかたをの部
第一 男子なりその子後に立派なる人となり一家繁昌すべし
第二 よき配偶を得べしその人富貴にて性来大なる志あり
第三 この縁組大によし後々富貴繁昌の兆なり
第四 自分は知らねども深く慕ふ人あり
第五 この旅行は障りなきのみならず多分の利益あるべし
第六 此の友人とはあまり深く交らぬ方よろし
第七 失せものもどることあり
第八 来らず来るとも又帰ること出来るなり
第九 他国に出れば願ひごと必ず成就すべし
第十 あまり利慾に迷ふ時はかへつて大なる損失を招くべし●出来値もまづ同様ならん
第十一 案外にたやすく利益を得べし
第十二 願ひごとすみやかに叶ふべし
第十三 縁談を申込むものあるしるしなり
第十四 すべて都合よし不平など言ふものなし
第十五 ある人の救助により放免せらるべし
第十六 病気全快する事難しされど五六日を過ぐればしだいに見直すことあり
うらかたわの部
第一 病人は危ふき時を逃るることあり信心すべし
第二 出生の児は女子なり産はやすし
第三 よき配偶を得て愛情互いに深し
第四 この縁組は整へども不利益多し
第五 暫く時せつの至るを待つべし互に愛するの情は弥々深かるべし
第六 他国へ出づべからず望み遂げがたし
第七 大切に交際べし真実の友人なり
第八 紛失ものやがて手に入ることあり
第九 待人来るべし
第十 遠国に住まば婦人を遠ざくべし災害の身に及ぶかたちあり
第十一 はからず財宝の手に入る事あり●漸次辷りの兆あり
第十二 よきことの身に来る兆あり
第十三 開運の時節近きにありしばらく待てば大幸福来るべし
第十四 今の悲境変じて悦びとなるかたちあり
第十五 運は春期に向ふ花の蕾の如し遠からず開くべし
第十六 つみのがれがたし覚悟せよ
うらかたかの部
第一 青天白日の身となり大喜びにて帰り来るべし
第二 病気全快覚束なし永びくべし
第三 長寿の児を持つことあり但し出産の時用心すべし
第四 をとなしき配偶を得ること疑ひなし
第五 この縁談は憂苦の種子となるべし暫く見合す方よし
第六 己を慕ふもの彼の人ほど深きもの外になし
第七 道中安穏にして少しも苦労なし
第八 真実真味の友達にあらず内々己の敵なり恐るべし慎むべし
第九 失せたる品早く出づべし
第十 待ちても来らぬなり
第十一 家を求め宅をかへて大に立身すべし●はね返す模様見ゆ
第十二 当分利益を得ること覚束なし
第十三 今は苦労甚しけれどもこの辛苦は後日幸福とかはるべし
第十四 正直の頭に神やどるといへりさすればいかなる願ひも叶なふべし
第十五 身に禍あり慎むべし神仏を信仰してよし
第十六 今財宝は身に入らねども愉快事あるべし
うらかたよの部
第一 今日慎めば幸福を身に増すべし
第二 最早放免となること疑ひなし
第三 病気は全快し後はかへりて長寿すべし
第四 よき女子二人持つべし其の外子なし
第五 配偶は富貴なり中ごろ少しく紛紜あるべし
第六 縁組なるべくいそぐべし幸福あり
第七 真実に恋ひ慕ふ人あり
第八 今の地を離れ宅を換ふることあしし物事成らず
第九 二人と得がたき良友と知るべし
第十 失せ物ふたたび出づることなし
第十一 大病にて来ることかなはず
第十二 すべて従来の通りを守るべし●頭重き振合あり
第十三 開運の時来りて富貴繁栄身に集る
第十四 身に幸福多しとて心をゆるすべからず
第十五 願ひごとかなひて心のままなり思ふ通り行ふべし
第十六 身を慎むべし油断するときは思はざる災難ある前兆なり
うらかたたの部
第一 吉夢なり仕合せよし
第二 今日は甚だわろし身を慎むべし
第三 今は日蔭の身なれども日ならず青天白日の身となり名誉を揚ぐべし
第四 一時は全快覚束なしといへども見かへすことあるべし
第五 児は無事に生長して後には名高き人となるべし
第六 配偶は富めども性来甚だよろしからず
第七 この縁早く定りて末長く栄ゆべし
第八 さきにも心あり首尾よく叶ふことあるべし
第九 旅行は障りなし無事に到着べし
第十 頼もしからぬ人と知るべし
第十一 うせ物はからず手に入ることあり
第十二 待人来る但し少しく紛紜あり用心すべし
第十三 他国に出づれば運ひらくことあり
第十四 身分相応の事なればかならず成りて利益を得べし●小締の方なるべし
第十五 今は困窮すれども末には富み栄ゆべし
第十六 すべて今の所業を固く守るべしみだりに迷ふべからず
明治二十八年一月二十五日印刷
仝 年一月二十八日発行
定価金拾銭
版権所有
著者兼発行者 東京市芝区兼房町十二番地 鈴木玄
印刷者 東京市京橋区弓町十三番地 松本義弘
発売所 東京市芝区兼房町十二番地 鈴木書屋
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おまけ・シンボル別の占断まとめ
参考になるかどうかアレですが、ジオマンシー的にはシンボル毎にまとめて何か傾向がありはしないか気になる所ですよね。
てなわけで「うらかた」の占断をシンボル別にまとめなおしてみました。
第一(ヴィア — 道)
願事 望みごと遠からずかなふべし
目的 今幸福を得れども他人に妬まるることあり
損得 目上の人の保護に依り大なる利益を得て忽ち身代を起すべし
引越 故郷にて幸福を得がたけれども他国に出づれば大なる幸福利益を得るかたちあり
待人 待人来らず
失物 急には出で難し気長く心を付けなば再び戻る事あり
交友 一生涯交わりてよき友人なり
旅立 旅行至極よろし万事意の如くなるべし
愛情 真情にして思ひかなふべし但し心易きにすぎて争ひ起ることあり
縁組 婚姻の後不仕合あれどもまた幸福を得る時節到来すべし
夫婦 美しき配偶を得て其の中睦し
出生 男子なりその子後に立派なる人となり一家繁昌すべし
病人 病人は危ふき時を逃るることあり信心すべし
罪人 青天白日の身となり大喜びにて帰り来るべし
良悪 今日慎めば幸福を身に増すべし
夢見 吉夢なり仕合せよし
第二(アクウィシショ — 獲得)
願事 暫く願ひ事を見合すべし
目的 運甚だよろし神仏の助けを乞ふを怠ること勿れ
損得 思ひたちたる事は心置きなくすべし大に利益あるべし
引越 自分が信ずる友人の家に身を寄すべし万事意の如くなるべし
待人 障りありて来たることおそし待つべからず
失物 損失とあきらむべし出づれば其の日の中にあり
交友 己を妬み憎むあしき友あり能く心を付けてその難を避くべし
旅立 旅行にさはりなしといへども目的は遂げがたし
愛情 思ふ事かなふ末遂げてばんじよろし
縁組 この縁整へども争ひ起り添ひ遂げがたし
夫婦 よき配偶を得べしその人富貴にて性来大なる志あり
出生 出生の児は女子なり産はやすし
病人 病気全快覚束なし永びくべし
罪人 最早放免となること疑ひなし
良悪 今日は甚だわろし身を慎むべし
夢見 つらきことがら身に迫ることあり慎むべし
第三(プエラ — 少女)
願事 望み事相当なれば叶ふべし
目的 神仏の加護によりて今の不幸は幸福と変るべし
損得 求むる所しばらくして得らるべし●相場あがる兆あり
引越 土地を換ふれば大なる幸福を受くべし
待人 待人はおそく来るべし
失物 失せ物出がたし穿鑿すべからず盗賊におひせんの譬へあり
交友 親切にして頼となる人なり
旅立 いづくへ旅行するも障りなし大に繁昌すべし
愛情 思ひの外早く叶へども後に心の変ることあり
縁組 この縁組大によし後々富貴繁昌の兆なり
夫婦 よき配偶を得て愛情互いに深し
出生 長寿の児を持つことあり但し出産の時用心すべし
病人 病気は全快し後はかへりて長寿すべし
罪人 今は日蔭の身なれども日ならず青天白日の身となり名誉を揚ぐべし
良悪 為すことは万事叮嚀にして慎むべし万一怠るときは禍来るべし
夢見 他人の恵みを受る事ありよく其人に親むべし
第四(カウダ・ドラコニス — 竜の尾)
願事 強て今の望みを遂げんとせば却て貧窮を招ぐの恐れあり
目的 運よろしからず神仏に祈りよく勤むべし
損得 万事ひかへめにして時節を待つべし必ず利益を得る時来るべし●相場或は下落することあり
引越 家うつり宅をもとむること暫く見合すべし
待人 待つべからず来ることなし
失物 品物遠く隔たるしかし意外なる所より戻ることあり
交友 真実すくなし程よく交際すべし
旅立 旅行はあしし不幸を招くことあり暫く見合す方よし
愛情 自分は知らねども深く慕ふ人あり
縁組 この縁組は整へども不利益多し
夫婦 をとなしき配偶を得ること疑ひなし
出生 よき女子二人持つべし其の外子なし
病人 一時は全快覚束なしといへども見かへすことあるべし
罪人 刑罰逃れがたし
良悪 己を不幸に陥しいれんとするものあり慎むべし
夢見 交際親睦にして不和なき兆なり
第五(トリスティシャ — 悲しみ)
願事 願ふ所友人により始めて成就すべし
目的 思ふ所障りありて急に遂げがたし
損得 すべて見合す方よし損失多し●相場大に変動あり
引越 この地を去り他国に到らば運必ず開くべし
待人 大悦びにて来るべし
失物 失せ物出で難しされども盗賊は捕縛となるべし
交友 この人は真実なり万事うちあけて大によし
旅立 この旅行は障りなきのみならず多分の利益あるべし
愛情 暫く時せつの至るを待つべし互に愛するの情は弥々深かるべし
縁組 この縁談は憂苦の種子となるべし暫く見合す方よし
夫婦 配偶は富貴なり中ごろ少しく紛紜あるべし
出生 児は無事に生長して後には名高き人となるべし
病人 命危しよくよく気を付くべし
罪人 放免さるること覚束なし
良悪 今日は最も慎み戒むべし不幸に遇ふの恐れあり
夢見 思ふこと成就するまでは多くの障りあれども一生懸命に心掛けなばかなふべし
第六(アミッショ — 喪失)
願事 望みは達せんとして終に達しがたきかたちあり
目的 目途遂げがたししんじんすべし
損得 今の業をやめ他の業を営まば利益を得べし●手ばなす方よし
引越 この地を離れてはよき運をとりはづし繁昌せず
待人 来ることおそし
失物 盗難ありすべて用心すべし
交友 此の友人とはあまり深く交らぬ方よろし
旅立 他国へ出づべからず望み遂げがたし
愛情 己を慕ふもの彼の人ほど深きもの外になし
縁組 縁組なるべくいそぐべし幸福あり
夫婦 配偶は富めども性来甚だよろしからず
出生 女子を生むべし少しく運わろし
病人 病人は九死一生と知るべし
罪人 罪を免るることいと覚束なし
良悪 損と益との分れ道にありよくよく注意べし
夢見 この夢大にあししよくよく身を慎みてよし
第七(カプト・ドラコニス — 竜の頭)
願事 思う事必ず成就すうたがひなし
目的 望み事一切見合すべし未だ時節来らず
損得 売買とも利益あり但ししかけてはあしし
引越 家うつりすべし繁昌すること疑ひなし
待人 財宝を持て来るべし
失物 失せものもどることあり
交友 大切に交際べし真実の友人なり
旅立 道中安穏にして少しも苦労なし
愛情 真実に恋ひ慕ふ人あり
縁組 この縁早く定りて末長く栄ゆべし
夫婦 賢き妻を迎ふべし●良人はかならず優れたる人なり
出生 出生の児は男なりのちのちかならずすぐれたる人となるべし
病人 病気は全快し身体はますます健康なるべし
罪人 今回は免るることを得べし後来注意すべし
良悪 不幸不利益の方にいざなふものあり用心すべし
夢見 災難来る前兆なり万事慎みてよし
第八(フォーチュナ・メジャー — 大吉)
願事 何事も願ふ通り成就すべし
目的 今は思ひのままなれども末遂げかたし
損得 見込通り利益多かるべし●売買とも進みてよし
引越 転宅は暫く見合すべし幸福その身に来る事ありいそぐべからず
待人 来らず来るとも又帰ること出来るなり
失物 紛失ものやがて手に入ることあり
交友 真実真味の友達にあらず内々己の敵なり恐るべし慎むべし
旅立 今の地を離れ宅を換ふることあしし物事成らず
愛情 さきにも心あり首尾よく叶ふことあるべし
縁組 この人と縁を結べば思はぬ災難を受くべし
夫婦 このうらかたを得たる人の配偶はかならず富む人なり
出生 生まるるは女子にしてのちのち世上の人に敬愛さるべし
病人 病気長引くべし全快すること殆ど覚束なし
罪人 あかりはたてども逃るゝ事むづかし
良悪 今日運甚だわろし思ふ所一も遂げがたし
夢見 ゆめあしくば近きうちにかへつて喜びごとありと知るべし
第九(フォーチュナ・マイナー — 小吉)
願事 願ひ事はかならず成就すべし
目的 従来の目的を換へざれば富みを得がたし
損得 少しの利益あるべし●気配稍よし
引越 他国に出れば願ひごと必ず成就すべし
待人 待人来るべし
失物 失せたる品早く出づべし
交友 二人と得がたき良友と知るべし
旅立 旅行は障りなし無事に到着べし
愛情 この恋情は真実にあらず故に永く保つべからず残念なりとも止まる方よし
縁組 この縁談は甚だよし一生幸福多く繁昌すべし
夫婦 富貴又は優れたる人にはあらねども先中位の身分と知るべし
出生 極て美しき男子を出生べし但し驚く事あり
病人 病気日々に全快すべし
罪人 不自由を免れ青天白日の身となるかたちあり
良悪 災難身に及ぶ心を用ふべし
夢見 勉むべし幸福遠からず来る
第十(プエル — 少年)
願事 今は何事も成就し難し思ひかへてよし
目的 苦しき事や悲しき事や恐ろしき事に出あひ始めて望みを達すべし
損得 あまり利慾に迷ふ時はかへつて大なる損失を招くべし●出来値もまづ同様ならん
引越 遠国に住まば婦人を遠ざくべし災害の身に及ぶかたちあり
待人 待ちても来らぬなり
失物 失せ物ふたたび出づることなし
交友 頼もしからぬ人と知るべし
旅立 旅行はあしし止る方極めてよし
愛情 真実心底より出でし恋情にして互に愛情深し
縁組 この縁組は見合す方宜し身を亡す禍興るべし
夫婦 分別宜しからずされども其の真情極めて深し
出生 玉の如き女子を産むべし
病人 病気おもく全治すること難し
罪人 やうやく死を免るるのみ
良悪 今日の運はとりとめなし
夢見 いかなる夢も人に咄すことなかれ不幸は追々去るに至るべし
第十一(ルベウス — 赤)
願事 何にても心のままに叶ふべし
目的 案外にたやすく利益を得べし
損得 はからず財宝の手に入る事あり●漸次辷りの兆あり
引越 家を求め宅をかへて大に立身すべし●はね返す模様見ゆ
待人 大病にて来ることかなはず
失物 うせ物はからず手に入ることあり
交友 互に深切を尽して交るかたちあり
旅立 目上の人の助けありて福と恵とを受くることあるべし旅行大によろし
愛情 この恋情は思ひ断つべし身の上に大害あり
縁組 この縁組すゑとげて大によろし
夫婦 匹偶は身持放蕩なるべしこれが為め自分の身に迷惑を及ぼす事多かるべし
出生 出生の児は美しき男なり産は軽し
病人 病気は神仏の守護に依り全快すべし
罪人 近き中に免さるべし
良悪 付けねらふ人あり心を用ふべし
夢見 知り合ひに心あしき者ありよく気を付くべし
第十二(ラエティーシャ — 喜び)
願事 願ひごとすみやかに叶ふべし
目的 よきことの身に来る兆あり
損得 当分利益を得ること覚束なし
引越 すべて従来の通りを守るべし●頭重き振合あり
待人 待人来る但し少しく紛紜あり用心すべし
失物 うせもの手に入り難し
交友 悪友の為めに欺かるることあり用心怠ること勿れ
旅立 旅行はあしし仕来りの通りを守るべし
愛情 自分を悪く云う人を恋ひ慕ふかたちあり
縁組 縁組よろしからず不幸を来し多くは別るることあるべし
夫婦 真心ありて財産に富めり助けとなるべし
出生 女子にしてうまれつき虚弱の方なり
病人 病気は全治することうたがひなし
罪人 罪を負いたる苦労近々に消ゆべし
良悪 あまり心配すべからず追々善き方に向ふべし
夢見 財を得るかたちあり
第十三(カルサー — 孤独)
願事 開運の時節近きにありしばらく待てば大幸福来るべし
目的 今は苦労甚しけれどもこの辛苦は後日幸福とかはるべし
損得 開運の時来りて富貴繁栄身に集る
引越 他国に出づれば運ひらくことあり
待人 おほよろこびにて来るべし
失物 一度失ひたるもの不意に手に入ることあり
交友 親みふかき友人に依頼べし
旅立 何処へ旅行するも障りなし但し心を付くべし
愛情 情人他にあり思ひ切る方よし
縁組 この縁組は争ひごと起るべし止る方よし
夫婦 匹配は性質正直にして親切なり
出生 丈夫なる児を生む但産後の養生を大切にすべし
病人 神仏の加護により病気全癒却て健康とならん
罪人 近き中に放免るべし
良悪 仇は変じて味方となるべし
夢見 縁談を申込むものあるしるしなり
第十四(コンジャンクショ — つながり)
願事 正直の頭に神やどるといへりさすればいかなる願ひも叶なふべし
目的 身に幸福多しとて心をゆるすべからず
損得 身分相応の事なればかならず成りて利益を得べし●小締の方なるべし
引越 今の地宜し他に転宅することあしし
待人 恋情の為めに妨げありて待人来らず
失物 失せもの出がたし
交友 真の心なし言ばと為す事と違へり
旅立 旅行は禍起る当分見合すべし
愛情 心の変はることあり添ひ遂げがたし
縁組 この縁組はあししのちのち争ひ起らん
夫婦 家内に少く浪風立ことあれども夫婦なか極めて睦し
出生 玉の如き女子を生むべし
病人 病人は治しがたし恐くは命なし
罪人 拘留せられ五六日の苦難あるべし
良悪 すべて都合よし不平など言ふものなし
夢見 今の悲境変じて悦びとなるかたちあり
第十五(アルブス — 白)
願事 願ひごとかなひて心のままなり思ふ通り行ふべし
目的 今は困窮すれども末には富み栄ゆべし
損得 よき望みなり目上の人の助けを受くることあるべし●現米は不味の気配
引越 今住居する所安心なりがたしよく心を用ふべし
待人 病気の為めに待人来らず
失物 いくらかの心配と費用とを忍耐なば望みを遂ぐ
交友 友とし交りて尊むべき人なり
旅立 この旅行は大によしかならず幸福を得ることあるべし
愛情 この恋は意外の難儀出来るの恐れあり思ひ切るかたよし
縁組 この縁末遂げずことにたびたびゑんかはるべし
夫婦 楽のでき難き夫婦なり愛情もうすき方なり
出生 男子なりやすやす出産べし
病人 病気は全快すべし憂ふることなかれ
罪人 ある人の救助により放免せらるべし
良悪 運は春期に向ふ花の蕾の如し遠からず開くべし
夢見 身に禍あり慎むべし神仏を信仰してよし
第十六(ポプラス — 人々)
願事 すべて今の所業を固く守るべしみだりに迷ふべからず
目的 運あしし一心に神仏を祈念すべし
損得 利益なし然し注意によりて損耗を免るべし●先物に注意せよ
引越 今の住居を換ふるはあしし
待人 来るべし暫くまちてみるべし
失物 出づれども遅かるべし又難儀の来ることあり
交友 真実の心なし交らざる方よし
旅立 何処へ行くとも障りなし但し不意に帰る事あるべし
愛情 添ひ遂げて一家繁昌すべし
縁組 望み通りに整ひがたきかたちあり
夫婦 縁とほし配偶を得る事いとむづかし
出生 女子を生むべし但し産はおもき方なり月の足らぬことあり
病人 病気全快する事難しされど五六日を過ぐればしだいに見直すことあり
罪人 つみのがれがたし覚悟せよ
良悪 今財宝は身に入らねども愉快事あるべし
夢見 身を慎むべし油断するときは思はざる災難ある前兆なり
……ぶっちゃけ、一部はジオマンシーのシンボル解釈に通じるものがあるような、そうでいてやっぱり全く関係ないような、そんな感じになってますな。