世界 | Luminareo

世界

2014-07-06

世界

「世界」タロット図解(1922年版)

インプレッション

見事に術を成し遂げた魔術師。
それは彼の魔術師として在るべき姿。
魔術師の意志は世界の意志なり。

ポジティブ

全てはうまくいっている
完全な成り行き
真の望みが現実となる
なるべくしてそうなる

ネガティブ

それが最高最善の状態
いくら不満でもそれが完全
願いは願いのままが完全

オリジナルで絵を描くなら……

月桂冠を戴冠した魔術師が魔法陣たるウロボロスの内にあり、その身の内には煌めく大きな星が宿っている。
世界に光を放つウロボロスの周囲に荒ぶる四大元素が控え、魔術師に従っている。
魔術師がひたすらに見入る己の星、この星こそ全てを導くものである。

世界 ― 究極の「これでいいのだ!」

「世界」というカード、タロットでは最強の札だと言われます。
最高によい状態で、ものごとが成就した状態を示している、とね。

だから、願いが叶うかどうかを占ったとき、最終結果に「世界」が出たら「願望成就!」ってとらえる人が多いはず。
……瀬野はそこにちょいと異議あり!を突き付けたい。


ええとですね。
さすがに、瀬野も「世界」はタロット中最強の札だと思ってます。
そして「世界」が出るというのは、命運的に最も完成した状態だとも思ってますよ?

だがしかし!
「世界」って、瀬野にはバカボンパパの「これでいいのだ!」的な匂いがすごくするんだ。

バカボンのパパって、話が「それはあかんやろ」って状況にオチても、最後にこやかに「これでいいのだ!」って宣言するじゃないですか。
「世界」って、それをやってるのがよりによって神様って感じです。

つまり、「願いごとが願った通りになっていくからこれでいいのだ」ではなくて、場合によっては、常識的に考えればトホホな結果に終わったけど、それは「そうなる運命だった訳で、その運命がちゃんと成就した」……みたいな。

だから、わりと「???」的なときでも、「世界」のカードって出るんだよね。

これで……いい、のか?

タロット解説サイトを渡り歩いていたとき、とある占い師さんのサイトで、「塔のカードから結婚を、世界のカードから破局を読み取るのが優れたタロット占い師だ」と書かれてたの読んだことがあるけど、これ言い得て妙だと思ったんですよ。

「塔」のカードから結婚というリーディングになるときってのは、超ざっくりした例をあげると、自分としては叶うはずが絶対にない恋だと考えてたけど、実は本人の全く知らない所で相手や周囲からとても望まれていて、それが明らかになったときに、いい意味で劇的超ビックリ! みたいな。

「世界」のカードから破局というリーディングになるときは、これまた超ざっくりした例だけど、恋人として付き合ってる間は全く分からなかったけど、実は相手は外面だけはやたらよくて、他人は誰ひとりそうとは思わないが、家庭ではDVモラハラ当たり前で一緒に暮らすようになったら地獄という人物で、むしろ、そのことに知る前に破局してああよかった、みたいな感じですかね。


ところで引き寄せの法則なんかをこじらせちゃってる人とかで「願いは全て叶うんだから、叶わない願いを願う訳がない」と頑張ってる人がよくいます。

そういう人が、他人から「願いはすでに叶ってる、あなたの場合『叶ってない』という願いが叶ってる」と言われ、「『叶ってない』なんて願ってない!!」とぶち切れるというのが、某そっち系掲示板などでの日常風景なのですが、

そういや、そっち系の達人さんたちが言う所の「全ての願いはすでに叶ってる」は実に「世界」ぽい。

「叶わない願いを抱えてのたうち回ることが、実は今の自分に必要」みたいな、なんだそりゃと呆れたくなるような場合が本当にあるから、ツッコミにも困ります。
そんなことを他人にツッコんだところで聞く耳なんか持つ訳ありませんし。

願いが叶わなかったその時はガッカリして失望しますが、その後何年も立ってから
「ああ、あのとき必死に願ってたことは、むしろ叶わなくてよかった」とか
「あのとき願ってたことは叶う運命ではなかったんだな」と思うようになるとか、
そんなようなときにも「世界」のカードは出る、といいますか。


今の自分が嬉しい、喜ばしいときに「世界」が出るならば、それは「運命の波に乗っていて、その結果も現実に現れていくぜ!」ってことで間違いなくファイナルアンサー、もう間違いなく最強なんですが、

自分が今辛く苦しいときに「世界」が出たら、もしかしたら「それはいくら頑張っても成果が出ない運命」あるいは「今は苦しむことが運命」という可能性を考えた方がよかったりもします。

はっきり言って、八方ふさがりのたうち回ってるときに「世界」が出たら、これはもう「吊るされた男」が出るときよりも、もっとたちが悪い。
今の苦労が報われるか報われないかは場合によるうえに、今はのたうち回るのが然るべきだから。

……「世界」のカード、イヤげなときは、間違いなくイヤげな方向に最強ですよ。

成就するのは「真の意志」

正直なところ、瀬野は「運命」っていう言い方はあまり好きじゃないです。
そして、引き寄せの法則的なことは、実際にあるとも思ってます。

だからといって、瀬野は「願いは全て叶えられる」とは思ってません。

引き寄せの法則とか、あるいは魔術によって成就するものというのは、いつでも自分の「真の意志」に沿ってるものだけだと、瀬野は思ってます。


「真の意志」というのは、ざっくりいうと潜在意識のことだと言えば、話が分かりやすいかもです。

ところで、「潜在意識」と「成就」ということについて、叶うのは顕在意識が願う願いじゃなくて、潜在意識が願ってる願いの方だから、潜在意識を書き換えて願いを叶えようということを試してる人達がいます。

しかし、瀬野はだいぶ天の邪鬼なので「顕在意識によって潜在意識を書き換える」というのは、正直眉唾だと思ってます。

瀬野は、顕在意識が潜在意識に対して出来ることというのは、潜在意識……「真の意志」、つまり自分の本当の本心が、今何を考え、何を信じ、何を望んでるのか明らかにすることだけだと思います。

顕在意識によって、潜在意識が何を信じているかということが明らかになり、そして潜在意識自身がそれに納得したならば、潜在意識が信じることや望むことは、自ずから変化します。わりと瞬間的にね。
それがいわゆる「書き換わった」っていわれる状況だと思ってます。

潜在意識は自ら変わるものであって、顕在意識によって書き換えられるだとか、あれこれ操作できるようなものだとは、瀬野は思ってません。

潜在意識はバカだから何度も言い聞かせりゃ書き換わるって言ってる人はいますが、それはその人自身の潜在意識が「自己紹介乙」なだけだと思います。


人間というもの、自分が本当は何を望んでるか自分でも意外と分かってないもんで、その上で、何を願おうが、何を望もうが、全く自由だとは思いますよ?
願いたいことは好きに願って全く構わない。

だけど、成就するのは、自分の「真の意志」に沿ってるものだけ。

んで、その「真の意志」って奴は、意図的に設定できるものではありません。
自分の心を丹念にめげずに探ることで、自分の中から探し当てるしかない。

「真の意志」と「世界」

えーっと、んなことをグダグダ述べて、一体何が言いたいかっていうとさ、その、自分の「真の意志」……自分が成就させられるものは何かということを自分ではっきり把握できた人というのが「本当の魔術師」だ、と瀬野は思う訳です。


さらに、その「本当の魔術師」が自分の「真の意志」を成就させるためには、ただ座ってゆんゆん念じてるだけじゃ全然ダメで。

行動する意欲実行力
それをやり続けることで感じられる喜び
してることについての適切な方法論知識
またそのことに対して自分の持ってる技術力とか熟練度

この4つの要素を調和させて使いこなさなければ、「真の意志」を成就させることはできない。

行動する意欲実行力ってのは、火の要素。ワンドです。
やり続けることで感じられる喜びってのは、水の要素。カップ。
適切な方法論知識というのは、風の要素。剣。
持ってる技術力熟練度というのは、土の要素。ペンタクルス。

そう、この4つの要素というのは、自分の中の4大元素だ。

自分の中の4大元素をバランスよく使いこなしつつ、自分の「真の意志」を、迷いなく明確に目指すことで「魔術師」は自分の「世界」を創造できる!


「世界」のカードには、そういうことが見事に盛り込まれてるんだよね。

4大元素は「世界」のカードに人・鷲・牛・獅子として描かれてます。
そして、「世界」のカードに描かれている楕円形の月桂冠はこの世界を意味してる。
その月桂冠のなかで踊っている人物というのは、自己実現した魂であり、それはつまり自分の「真の意志」というものを明確に把握できた結果な訳です。

自分の「真の意志」を知悉し、そのために自分の中の4大元素を使いこなす。
そうして自分の「真の意志」を生き生きと成就させ、世界の中心になる。

そういう、自己実現が果された有り様を表したのが「世界」のカードって訳です!